【2026/10/12】今週のステーブルコイン & RWA

今週のニュース

🏛️ テザー、カザフスタン中銀とテンゲ建てステーブルコインを検討

テザーは10月7日、カザフスタンの中央銀行である国立銀行(NBK)と、アラタウ市当局(ACA)との三者で覚書を結んだと発表しました。アラタウ市は特別な法制度のもとに置かれた都市で、中央アジアのデジタル技術と金融技術の拠点となるよう設けられました。ACA はこの市の行政と規制づくりを担っています。覚書で挙げた作業は具体的です。海外のステーブルコイン発行モデルを調べること、テンゲに連動するステーブルコインの構想と試験運用の案をまとめること、テザーの Hadron 基盤を使う可能性も含めて国内の資産トークン化の枠組みをつくること、対象とする資産の種類を絞り込んでアラタウで試験運用を始めることです。NBK の職員向けに、準備金の管理や実物資産のトークン化を扱う研修も開きます。ただし金額や期限は示されていません。NBK のジャリェノフ副総裁は、金融の安定と投資家保護を最優先すると述べました。今後は、テンゲ建ての試験運用の案がいつ、どんな発行体の形で出てくるかが焦点です。

出典: Tether

🏛️ ECB理事、Pontes始動とデジタルユーロ2029年発行の工程を説明

ECB のピエロ・チポローネ専務理事は10月6日、フランクフルトでの講演で、中央銀行マネーをデジタルの世界へ広げる方針を説明しました。公的なお金と民間のお金が並び立つ二層構造は維持します。卸売の分野では、Pontes が9月21日に始まりました。分散型台帳を使う市場の基盤を Eurosystem の決済サービスにつなぎ、トークン化資産を中央銀行マネーで決済する仕組みです。2028年半ばに全面稼働し、24時間365日の運用や複数通貨への対応を目指します。欧州のトークン化市場全体の設計・規格・統治を扱う Appia は、2028年に設計図をまとめる予定です。意見募集には127件が寄せられ、61の機関が市場の連絡会合に選ばれました。トークン化預金についても、中央銀行マネーで決済すれば銀行の違いを超えて額面どおりに交換でき、閉じたネットワークに分かれずに済むと述べました。個人向けのデジタルユーロは、2027年後半から36の決済事業者が12か月の試験運用を行い、法案が成立すれば早ければ2029年に発行します。なお講演はステーブルコインには触れていません。

出典: ECB

🏗️ Ondo、未上場企業に連動するトークン化ノートの24時間取引を開始

Ondo Finance は10月5日、Ondo Private Markets を発表しました。上場前の企業への投資成果をトークンの形で持てるようにする商品です。各商品はトークン化されたノートで、新規上場などの換金の機会が来たときに、参照する企業の普通株1株あたりの価値に応じて支払いが決まります。株そのものではなく、株の価値に連動する請求権をトークンにしている点が要です。第1弾は社名を明かしていない上場前の AI 企業で、発表の週に取引が始まる見込みです。今後はロボット、サイバーセキュリティ、バイオ、防衛、エネルギー、宇宙の企業も加える予定です。取引は流通市場で24時間365日行え、トークンは自分のウォレットで保管し、他の適格な投資家へ移せます。ただし「適格な投資家」の条件や使うチェーン、ノートの発行・ヘッジの方法は書かれていません。Ondo によれば、基盤全体の預かり資産は39億ドルで、トークン化株の Ondo Stocks は10億ドル超・450銘柄超に達しています。上場株で積み上げた仕組みを未上場株へ広げた形で、条件の開示が次の焦点です。

出典: Ondo Finance

💳 Circle、SAP系Tereinaと提携しUSDC・EURCを企業の業務システムへ

Circle は10月7日、SAP が出資する金融サービス事業者 Tereina との提携を発表しました。Tereina は企業のアプリに AI エージェントの機能を組み込み、従来の決済網とデジタルの決済網の両方で支払いを処理する会社です。今回、Tereina の決済基盤に USDC と EURC が加わり、ドル建ての支払いでは USDC を優先し、ユーロ建てには EURC を使います。入口は SAP Cloud ERP で、SAP の顧客は SAP Pay を通じて2つのステーブルコインを使えるようになります。発表は SAP の生態系が世界の商取引の84%を生むとしていますが、取引量や手数料、顧客数は示していません。これまで企業がステーブルコインで支払うには、業務システムの外で口座やウォレットを別に扱う必要がありました。それを会計や購買の流れの中に入れる点に意味があります。今後数か月で顧客との実証プログラムを共同で進め、財務・決済の担当者を育成し、導入が進むにつれて企業での普及の知見を公表する予定です。

出典: Circle

🔗 zerohash、決済チェーンTempoのバリデータに参加

Tempo は10月6日、zerohash がバリデータに加わり、基盤の提携先にもなったと発表しました。zerohash は、暗号資産やステーブルコイン、トークン化資産の機能を自社の商品に組み込むための API を企業に提供しています。その裏側で、資産やネットワークへの接続、保管、流動性、法令遵守と取引の監視、決済、法定通貨との交換を引き受けています。顧客は銀行・フィンテック・決済事業者の数百社です。今回の参加で zerohash はネットワークの安全を担う側に入り、同時に、顧客が既に使っている基盤から Tempo へ届く経路にもなります。想定する用途は、国際送金、給与や加盟店への精算、口座への入金と取引、コマース、トークン化、法定通貨との出入口です。バリデータには Stripe、Visa、スタンダードチャータード系の Zodia Custody が名を連ねており、決済と保管の大手に、既存の顧客網を持つ中継役が加わった形です。利用量などの数字は示されていないので、実際の送金が Tempo に流れ始めるかが次の確かめどころです。

出典: Tempo

🪙 Spark、sUSDS1億枚をArbitrumへ補充し他社ステーブル金利を統一

Sky の貸付・流動性部門である Spark は、10月22日の執行投票にかける6つの変更案を公表しました。中心は2つあります。1つ目は、Ethereum 側の ALM Proxy から Arbitrum 側へ sUSDS を1億枚移すことです。Arbitrum の PSM3 が売ってきた在庫を補うもので、USDS の供給の置き場所が L2 へ大きく動きます。2つ目は、SparkLend で扱う他社のステーブルコイン PYUSD・RLUSD・USDG の金利モデルを同じ設定にそろえることです。最適な稼働率を80%、基本金利を Sky の貯蓄金利(SSR)+0.20%、傾き1を0.20%、傾き2を15%とし、3つの金利がいずれも SSR を基準に決まるようになります。このほか WETH の傾き2を75%から30%へ下げ、助成金として計91万 USDS、SPK の買い戻しに34万1,970 USDS を送る定例の項目も含まれます。sUSDS の移動は SPK の投票(10月12〜15日)にかけ、執行投票が通れば早くて10月26日ごろに実行されます。

出典: Sky Governance