【2026/08/17】今週のステーブルコイン & RWA
今週のニュース
🪙 テザー、KPMG 米国法人による初の全面監査で無限定意見
テザーは2026年8月13日、Tether International, S.A. de C.V. の2025年12月期財務諸表について、KPMG 米国法人から無限定適正意見を得たと発表しました。無限定適正意見は独立監査人が出せる最も肯定的な形式です。同社はこれまで全面的な財務監査を受けたことがなく、準備金の裏付けをどう確かめるかが業界の長年の論点でした。今回は貸借対照表だけでなく、損益計算書・持分変動・キャッシュフローまで独立した実質的テストの対象とし、保有する金地金は1本ずつ現物を検分しています。準備資産は負債を68億1400万ドル上回り、USDT の流通量は2026年第2四半期時点で約1846億ドル、同社によれば日次の利用者は世界で6.5億人を超えます。CEO の Paolo Ardoino はこれを業界の転換点と位置づけ、発行体は重要インフラとして大企業並みのガバナンスを求められると述べています。焦点は、他の発行体が同水準の監査に追随するかどうかへ移ります。
🏗️ Ondo、SEC に規則611撤廃を支持する意見書
Ondo Finance は2026年8月12日、SEC が示した Regulation NMS 規則611の撤廃提案に対し、賛成の意見書を提出しました。規則611は2005年から米国株の執行を律してきたオーダー・プロテクション・ルールで、Ondo は「トークン化以前に作られた規則であり、トークン化証券と従来の証券が併存する市場を想定して作られていない」と述べています。撤廃に加えて求めた明確化は3点です。オンチェーンとオフチェーンの市場に同一の執行基準を適用すること、トークン化された注文に競争的な RFQ 執行を認めること、中立な執行基盤をブローカーディーラーや取引所として登録せずに運営できるようにすること。同社は Ondo Stocks が既に既存の取引所の板へ直接注文を回していると説明したうえで、オンチェーンの米国株取引がオフショアで育っている現状を、規則611後の基準づくりによって国内市場へ引き戻す機会だと位置づけています。株式のトークン化が制度設計の側で争点になり始めた例です。
💳 Tempo、滞留ステーブルコインに利回り付与の新機能
Tempo は2026年8月12日、決済プラットフォームが自社サービスの中でステーブルコイン残高に利回りを付けられる Tempo Earn を発表しました。これまで決済用のステーブルコイン残高は、送金と送金の間で何も生まない滞留資金でした。Tempo Earn では利用者がプラットフォームを離れずに運用を選べ、引き出すまで残高が働き続けます。原資として示されているのはトークン化されたマネー・マーケット・ファンド、オンチェーン貸付、機関投資家向けクレジットで、報酬を事業者と利用者でどう分けるかは事業者側の裁量です。ネットワーク手数料は事業者が肩代わりできるため、利用者が手数料用のトークンを別に持つ必要はありません。事例として挙がっている Deel は DLUSD を使い、Tempo Zones を使えば残高と取引を他の参加者から見えない状態のまま運用できます。利回りの水準と提供開始時期は明らかにされておらず、選ぶ裏付け資産次第とされています。
💳 週末の決済空白を銀行が取りに行く預金裏付け案
Tempo が、銀行が週末の決済需要を自ら取りに行くための設計を示しました。Fedwire・CLS・TARGET2 は週末と夜間に閉まるため、金曜夜から日曜夜まで決済の空白が生じます。機関投資家は既にその外側で取引しており、2026年4月のある週末にはデリバティブ取引所 trade.xyz がステーブルコインで15億ドルの機関向け想定元本を処理しました。提案は、銀行がホールセール預金(小口の中核預金ではない)を裏付けに、可逆的で期間限定の流動性プール=「スリーブ」を出すというものです。法人顧客が金曜夜にホールセール残高を規制対象のステーブルコインへ変え、承認された場で週末の決済に使い、月曜朝に自動的に預金へ戻ります。ホールセール預金はもともと貸出の原資ではないため、貸出業務を食う心配がないという整理です。試算では5000億ドル規模の銀行がピーク50億ドルのスリーブを回すと年約3800万ドル、年換算2600億ドルの流量に対し損益分岐は1.4〜1.6bp。トライパーティ担保の1〜3bp、週末 FX の5〜20bp より安いとしています。準備金を高品質流動資産に分別することを求める GENIUS Act が、この形を可能にする前提です。
🔗 Aave、X Layer のネイティブ USDC 上場提案
2026年8月12日、TokenLogic が Aave V3 の X Layer インスタンスにネイティブ USDC を担保資産として上場する提案を、Direct-to-AIP の手続きで提出しました。背景にあるのは Circle が2026年8月6日に X Layer へネイティブ USDC を展開し、あわせて Cross-Chain Transfer Protocol(CCTP)に対応したことです。CCTP により、ラップド版や第三者のブリッジ表現に頼らずネイティブ USDC を他の対応ネットワークとの間で直接移せます。提案するパラメータは既に稼働している USDT0 の設定に揃え、供給上限5000万 USDC、借入上限4800万 USDC、LTV 70%・清算閾値75%、変動金利は slope1 が5%・slope2 が40%、フラッシュローンは有効、アイソレーションモードによらない担保として利用可能とされています。今後はコミュニティの意見を集め、リスク・サービスプロバイダーの検討を反映したうえで AIP の投票へ進みます。リスクパラメータは投票前に見直される余地があります。