値幅0.7%の土曜、資金調達率は短期金利を下回る ― 10月16日・23日の満期はコールが高い側へ
2026年10月4日
土曜日は、金曜の往復のあとで、ほとんど動かなかった日です。
- 価格:24時間の値幅は0.7%と、この1週間でいちばん小さく、朝7時5分の時点で約$84,731
- きっかけ:新しいきっかけは来なかった。証券市場は週末で閉まっていた
- 先物:金曜に手仕舞われた買い持ち(ロング)は積み直されず、資金調達率(=ロングが払う金利。プラス=ロングがショートより多い)も短期金利(=ドルを米国の短期国債で持つだけで受け取れる金利)を下回った。上げへの確信は弱まったが、下げに賭ける人が増えたわけでもない
- 需給の土台:米国の買い手は手を止めたまま、長期保有者の利益確定の売りも続いているが強まっていないので、前日から変わっていない
- オプションの見方:この先しばらく大きく動くとは見ておらず、下げへの備えは10月末のFOMC(=米国の金利を決める会合)をまたぐ満期にだけ残している
1. 何が起きたか
図1-1 価格の推移(1時間足・直近7日)

図の見方: 1時間ごとの価格(日本時間)。金曜の山のあと、右端の土曜は線が点線のそばでほぼ平らです。
- 24時間の値幅は0.7%で、前日の4.0%の6分の1。
- Hyperliquidで見える清算は3件だけで、最大の1件が全体の4分の3。
土曜日は、この1週間でいちばん静かな24時間でした。金曜の往復で多数出た清算(=証拠金不足で強制的に閉じられた取引)は、土曜日にはほとんど出ていません。Hyperliquid(=オンチェーンの先物取引所)で見えたのは日曜の3時台に売り持ち(ショート)の大口が1つ清算された分だけで、値動きの速い時間には重なっていません。
図1-2 価格と50日・200日移動平均

図の見方: 2本の平均線の上下関係を見ます。50日線が200日線の上にあるのがゴールデンクロスです。
- 50日線と200日線の差は約$7,130(10.0%)で、前日の約$6,749からさらに開いた。
- 価格は50日線の7.9%上。
長い目で見た流れの向きは変わっていません。ゴールデンクロス(=50日線が200日線を上抜けること)の状態が26日目で、2本の平均線の差は開き続けています。
証券市場は週末で休みです。金曜10月2日は米国株(S&P500)が+0.73%で終わっていて、外部環境から週末へ持ち越された売りの材料はありません。
2. なぜ動いたか:きっかけと、需給のどこが動いたか
図2-1 ビットコインと株・金・原油の相対推移(起点=100)

図の見方: 同じ起点から何%動いたかで重ねたもの。線の向きが揃っているかを見ます。
| この5営業日の動き(ビットコインは7日間) | 変化 |
|---|---|
| ビットコイン | +0.4% |
| 金 | −3.7% |
| 米国株(S&P500) | −0.3% |
| 原油 | −1.4% |
- 建玉は97,415BTCで、前日の98,561BTCから1.2%減った。
- 資金調達率から短期金利を引いた上乗せは−0.54ptで、前日の+1.08ptからマイナスへ移った。
土曜日に価格が動かなかったのは、新しいきっかけが来ず、金曜に手仕舞われた先物のロングが積み直されなかったからです。
- きっかけ:ありません。証券市場は週末で閉まっていて、株・金・原油・金利から新しい材料は来ませんでした。金曜の米雇用統計のあと、10月27〜28日のFOMCで利上げする織り込みは約2割(1週間前は約6割)で、土曜日にこれを動かす出来事は出ていません。この1週間でビットコインはほぼ横ばい、金は大きく下げていて、同じ向きには動いていません(図2-1)。
- 伝わり方:先物が動かなかったので、価格も動きませんでした。建玉(=先物の未決済残高。証拠金で張っている人の量)は価格が横ばいのまま小さく減り、新しいロングもショートも積まれていません。資金調達率はプラスを保っていますが、短期金利を引いた上乗せはマイナスになりました。現物も動いていません。アメリカ側だけが高く買われた形は出ておらず(図①-1)、長期保有者も10月2日時点で減り方を前の週より小さくしています(図②-1)。
前日は「米雇用統計を見込んで積まれたロングが、米雇用統計のあとに手仕舞われた」と説明しました。手仕舞いが一時的なものだったなら、土曜日にロングが積み直されて建玉が増え、資金調達率の上乗せも戻るはずです。どちらも起きていないので、前日の説明は今日の数値と合っています。
原油をめぐっては、OPEC+の会合が今日10月4日に開かれます。ホルムズ海峡の再開をめぐる協議にも、この週末に新しい決定は出ていません。どちらも、土曜のビットコインの値動きに効いた形跡はありません。
3. 市場参加者はいまどう見ているか
① アメリカの買い手は手を止めたままで、逃げてはいない
図①-1 Coinbase Premium(アメリカとそれ以外の価格差・直近90日)

図の見方: プラス=アメリカで買いが強い。太線が1週間平均、細線がその日の値。薄い帯は「いつものブレの範囲」です。
- 1週間平均は−0.04%で、前の週の−0.02%からわずかに下向き。
- 土曜の値は−0.02%で、いつものブレの0.4倍。
アメリカの買い手は、手を止めたままです。Coinbase Premium(=アメリカとそれ以外の価格差)は1週間平均で小さなマイナスが続いていて、買いに戻った形も、売りに回った形も出ていません。
図①-2 ETFの日ごとの資金の出入り(直近90日)

図の見方: 入ったお金と出たお金の差。上に伸びれば入り超、下に伸びれば出超。
| ETFの日ごとの出入り | 億ドル |
|---|---|
| 9月29日 | +0.7 |
| 9月30日 | −1.5 |
| 10月1日 | +1.0 |
| 10月2日 | +0.3 |
| 直近7営業日の合計 | +4.1 |
- 10月2日の入り超は、ほぼ全額が1本のファンドに入った分。
ETFの買い手は、金曜の往復に加わっていません。価格が$87,000台まで上げて戻した10月2日も入り超は小さく、資金が大きく入ることも、出ていくこともありませんでした。入り超は続いていますが、9月下旬に日ごとに入っていた額よりずっと小さいままです。
図①-3 Fear & Greed(市場心理の指数・直近90日)

図の見方: 0〜100で、50より上が「強欲」、下が「恐怖」。
- 67の「強欲」。前日の72から5pt下がり、1週間前は74、1か月前は65。
市場の多数は、金曜の往復を怖がっていません。Fear & Greed(=市場心理の指数)は10月3日の確定値で少し下がりましたが、「強欲」の側にとどまっていて、1か月前とほぼ同じ水準です。
② 長期保有者は利益確定の売りを続けているが、減り方は前の週より小さい
図②-1 長期保有者の保有量の30日変化とSOPR(直近90日)

図の見方: 上段は、長期保有者の保有量が30日でどれだけ増減したか。マイナス=手放している。下段は長期保有者SOPRで、1より上なら利益で手放した。どちらも1週間平均で読みます。
| 10月2日時点 | 1週間平均 | 前の週の平均 |
|---|---|---|
| 長期保有者SOPR(1より上=利益で手放した) | 1.13 | 1.21 |
| 長期保有者の保有量の30日変化(万BTC) | −4.9 | −8.1 |
- 1か月前(9月2日)の−10.5万BTCと比べると半分以下。
長期保有者(=155日以上保有者)は利益確定の売りを続けていますが、減り方は前の週より小さくなっています。保有量は30日で減り、動いたコインは平均して買値より高く動いています。ビットコイン自身の需給の土台は、前日と変わっていません。
長期保有者のほかに、売りに回りそうな持ち手も見当たりません。長く眠っていたコインが急に動いた記録はなく、マイナーの収入も平年をやや上回る程度(Puell Multiple(=マイナー収入の平年比)が1週間平均で1.10)で、売りを急ぐ状況ではありません。
③ 先物:ロングは積み直されず、傾きはほぼ消えた
図③-1 資金調達率と建玉(直近30日)

図の見方: 上段は資金調達率(8時間ごと・日本時間)。プラスが続く=ロングがショートより多い。下段は建玉。
- 資金調達率はプラスが10回連続(約3日)。
- 短期金利を引いた上乗せの直近34日の平均は+1.72pt。
先物の参加者は、上げにも下げにも強い確信を持たずに様子を見ています。金曜に手仕舞ったロングを積み直していないので、上げへの確信は弱まりました。資金調達率は年率+3.45%で、ロングが払う金利は短期金利の3.99%という普通の資金のコストを下回っています。余分に払ってでも上げに賭けたい人は、いなくなりました。一方で、価格が横ばいのまま建玉が小さく減っただけで、ショートは積まれていません。下げを見込む人が増えたわけでもありません。
④ オプション:この先を怖がらず、下げへの備えは目先の2日と10月30日の満期に残る
オプションには2種類あります。コール(=決めた価格で買う権利)とプット(=決めた価格で売る権利)で、価格が上がればコールの価値が上がり、価格が下がればプットの価値が上がります。プットは「価格が下がったときの保険」として買われます。オプションを買う人は、その権利と引き換えに権利料(=オプションを買う人が払う金額)を払います。
図④-1 満期ごとのIV(年率%)

図の見方: IVを満期ごとに並べたもの。点線は実現ボラティリティ。IVが点線より下なら、市場はこの先の値動きを過去の値動きより小さいと見ています。
- IVは全体で34.8。実現ボラティリティ41.3より6.5pt低く、過去1年で下から7%。
- 満期ごとのIVは、10月4日の20.1から10月30日の33.3まで、途中に突出した満期が無い。
オプションの参加者は、この先しばらく大きく動くとは見ていません。IV(=値動きの幅の予想)は実現ボラティリティ(=過去の値動きの幅)より低く、この1年でも低い部類です。参加者が予想する値動きの幅は、最近実際に動いた幅より小さいということです。特定の満期(=権利の期限)だけが高く値付けされていることもなく、値動きが特に大きくなると見ている日付はありません。
図④-2 満期ごとのプットとコールの差

図の見方: 満期ごとに、プットとコールのどちらが高く売れているか。ゼロより上ならコールのほうが高く、下ならプットのほうが高い。
| 満期 | どちらが高いか |
|---|---|
| 10月4日 | プットが高い |
| 10月5日 | プットが高い |
| 10月6日 | コールが高い |
| 10月7日 | コールが高い |
| 10月9日 | コールが高い |
| 10月16日 | コールが高い(前日はプットが高かった) |
| 10月23日 | ほぼ差なし(前日はプットが高かった) |
| 10月30日 | プットが高い |
参加者は、10月末のFOMCの手前までは大きく下げるとは見ていませんが、FOMCの結果には下げへの備えを残しています。プットが高く値付けされるのは、下げに備える保険を買いたい人が多いときです。前日はプットが高かった10月16日と23日の満期で、その差が消えました。いまプットが高いのは、週末から月曜までの2つの満期と、10月27〜28日のFOMCをまたぐ10月30日の満期だけです。
図④-3 10月30日満期の持ち高(権利の価格ごと)

図の見方: 青=コール、橙=プット。現値より上にコールが、下にプットが積まれるのが普通です。
| 10月30日満期のオプション | 量(万BTC) | 意味 |
|---|---|---|
| コール | 約8.8 | 「価格が上がる」に賭けた分 |
| プット | 約3.4 | 「価格が下がる」への保険 |
| うち、いまより15%以上高い価格のコール | 約1.7 | 大きな上げへの賭け |
| うち、いまより15%以上安い価格のプット | 約1.7 | 大きな下げへの保険 |
- 10月30日満期の持ち高は約12.3万BTCと全満期の35%で、コールがプットの2.5倍。
- コールが集まっている価格は$95,000に約2.4万BTC、$90,000に約1.4万BTC。
「価格が上がる」に賭けた人たちは降りておらず、10月末に向けた上げへの期待はまだ残っています。10月30日満期の持ち高は前日とほぼ同じで、コールの大半はいまより高い$90,000と$95,000に積まれています。ただし、その賭けが報われるには、FOMCを越えて10月30日までに$90,000を超える必要があり、いまの価格から6%あまりの上げが要ります。
4. 価格に影響しうる直近のイベント
今朝の時点でプットが高く値付けされているのは、週末をまたぐ10月4日・5日の満期と、10月27〜28日のFOMCをまたぐ10月30日の満期です。米9月のISM非製造業と9月のFOMCの議事録をまたぐ10月6日〜9日の満期、米9月のCPIをまたぐ10月16日の満期は、コールのほうが高く値付けされています。
| 日付 | イベント | 何に効くか |
|---|---|---|
| 10/4(日) | OPEC+の会合。サウジアラビア・ロシアなど7か国が、11月の生産量を決める | 原油 |
| 10/5(月)23:00 日本時間 | 米9月のISM非製造業(=サービス業の景況感指数) | 金利 |
| 10/8(木)3:00 日本時間 | 9月のFOMCの議事録 | 金利 |
| 日程未定 | ホルムズ海峡の再開をめぐる協議 | 原油 |
| 10/14(水)21:30 日本時間 | 米9月のCPI(=米国の物価統計)。10月のFOMCの前に出る最後の物価統計 | 金利。10月16日の満期がまたぐ |
| 10/27(火)〜28(水) | FOMC。利上げの織り込みは約2割。結果は日本時間29日未明 | 金利 |
| 10/30(金)17:00 | オプションの最も大きな満期(約12.3万BTC、全満期の35%)。FOMCの2日後 | プットが高く値付けされている満期。$90,000以上のコールの期限 |
まとめ:土曜日の動きは何だったか
土曜日は、新しいきっかけが来ず、金曜に手仕舞われた先物のロングも積み直されなかったので、価格が約$84,700のまま動かなかった日でした。アメリカの買い手は手を止めたまま、長期保有者の利益確定の売りも減り方が小さいままで、ビットコイン自身の需給の土台は変わっていません。先物ではロングへの傾きが消え、オプションでは下げへの備えが10月末の満期にだけ残っています。参加者は近いうちに崩れるとは見ていませんが、次に大きく動く材料の10月末のFOMCまでは、賭けを大きくしないでいます。
(数値は10月4日7時5分(日本時間)までのデータに基づきます。価格・先物・オプションはその時点の値、市場心理は10月3日の確定値、オンチェーン(=ブロックチェーン上の記録)は10月2日時点、ETF資金フローは10月2日分までです。証券市場の終値は10月2日時点で、週末のため更新がありません。FOMCの織り込みは10月2日のFF金利先物の終値から計算したものです。オンチェーンの長期保有者の数値には、ETFや取引所が預かっている分も含まれます。オプションはDeribit(BTCオプションの大半を占める取引所)の全銘柄です。)
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